saqum

夕方に眠る

 今日は朝から落ち着かなかった。なにか気になりごとを抱えていたわけではない。ただ、私のなかの内燃機関が少し狂っているような気がした。そういう日はしばしばある。作業に身が入らない。やることなすこと中途半端に終わる。いわば、33回転で聴くべきレコードを45回転で再生しているような忙しなさが続くのである。直接的な原因は定かでないが、今日は風が異様に強かった。環境音の面でも、いわゆる気象病のような面でも、風が強い日は昔から好きでない。

 夕方ごろ、休憩時間を使って一睡した。起きたら陽が落ちていて、部屋は暗かった。風も弱まっている。身体を起こし、水を飲みながら目を覚ましていると、件の落ち着かない感覚が消えていることに気づいた。床で眠ったせいで足腰は痛んでいたが、心身が整頓されたような気がした。風が弱まったからかもしれないし、単なる睡眠不足だったのかもしれない。

 深夜営業の店が減少している、という話題から酒寄颯馬は、夜明けに寝て朝に起き、夕方に寝て夜に起きる生活習慣について語っていた。このリズムは「世のなかのいちばんいい時間を生きている気がする」という。「朝日とか夕陽が出てる時間って虚無なんだよね」。朝焼けや夕景の美しさに眩んでいたけれど、言われてみれば頷ける。今日の寝起きを経て、あらためて思い出していた。しかし私に、真夜中の外食チェーンの甘美や、通勤・通学のひととすれ違う朝の散歩の愉楽を存分に味わえる日々は、今後訪れるのだろうか。職に就き、ひとり暮らしを始め、気づけば一年が経った。

20250415 日記